2007年03月26日

育児書を捨てて外へ出よう

1995年、総務庁(現総務省)による調査で、「子育ては楽しい」と答えた日本の母親は全体のわずか20%台というデータがあります。

これは1998年にニュー・マザリングシステム研究会(子育ての通信教育講座)が、平均年齢29.7歳の母親に対して行なったアンケート調査でもほぼ符合したデータ結果が出ていて、「子育てに向いている」と回答した母親がわずか27.7%、「向いていない」65.9%、「わからない」「無回答」は6.4%でした。



もちろん子育てが「楽しくない」から子育てに「向いていない」と、単純にイコールで結ぶわけには行かないのですが、子育てに「向いている」と自己評価する母親も、「子育てが楽しい」と感じている母親も、全体の三割にも満たないという事は、それだけで全体の七割近くの母親たちが、「子育て」に苦しんでいる現実を示唆しているのではなでしょうか?



これは、なぜなのでしょうか?



遠い昔「育児」が、まだ「迷信」や「風習」に支配された時代ならまだしも、今どき本屋に行けば、様々な「育児書」なるものが存在し、テレビを点ければ様々な「育児法」が紹介されています。

母親の「育児」をバックアップする体制がこれほど整っている時代など、かつて無かったのではないでしょうか?

今や、「心の時代」と叫ばれ、「胎教」「早期教育」「情操教育」「右脳教育」と「育児」に成功するための方法は、それこそゴマンと存在する世の中です。

今更何を悩み、何を苦しむことがあるのでしょうか?

実は私も「我が家の育児」いや・・・「わが子の育児法」に絡む問題に苦しむ妻の苦痛を少しでも和らげるためにと、それこそ総額数百万円相当の「育児」関連書籍を買い揃え、図書館を利用し、「育児セミナー」を覗き、インターネットを利用して情報集めに奔走した時期があります。

しかし、「育児」に関する情報を集めれば集めるほど妻の苦しみは更に深く、更に激しくなっていきました。



なぜ!?



私の母は、産業心理アドバイザーで、交流分析エゴグラムなどの勉強もしていますが、そういった見地から、「育児セミナー」などで講演することもあります。

その私の母からの「育児法」に関するアドバイスも、妻なら、いつでも受けられる環境にあります。

しかし、アドバイスを受ければ受けるほど、妻の苦しみは更に深く、更に激しくなっていきました。



なぜ!?



そして、やっと悟りました。


この「育児」に関する情報が溢れている現代だからこそ、母親が苦しんでいる事を・・・

この「育児」に関する情報が有り余る現代だからこそ、子供も苦しんでいるんだと・・・





現代は母親にとって、あまりにも便利すぎて、あまりにも子供中心に時間をかけられる環境が整いすぎています。





昔だと一仕事だった、炊事洗濯家事全般のほとんどを、現代では家電品がしてくれます。

IH炊飯ジャー、冷蔵庫、ポット、全自動洗濯機、乾燥機、掃除機、お風呂も今時全自動のものがあります。(最近では冷凍食品や24時間年中無休のコンビニ、お弁当屋さんも充実しています)

家電品の活躍により、家事に費やす時間が激減してしまった主婦に、余った時間を「育児」に費やすよう社会は求めるようになりました。



しかも、昭和30年代前半からの「家電ブーム」による家電製品が家庭へ爆発的に普及していく時期を経て「スポック博士の育児書」や、小児科医の松田道雄さんの「育児の百科」による「育児ブーム」が始まり、時は高学歴社会となり、世の母親たちは「教育ママ」と化して、我が子の「英才教育」に没頭していきました。
しかし、そのことが母子密着障害を生み、「冬彦さんブーム」などを経て「学歴」よりも「心を育てる育児」へシフトしていかざるをえなくなりました。







しかし、「学歴ブーム」の中では、我が子の成績の低さや受験の失敗を学校や塾や先生の所為に出来ましたが、「胎教」「早期教育」「情操教育」では、母親が主役です。母親次第と言われています。
しかも、井深大さんも「幼稚園では遅すぎる―人生は三歳までにつくられる!」と言いだすし、幼児教育・右脳教育の大家七田さんさんも、「子供の能力、性格は6才までに決まってしまう。この時期までの知的体験が脳の質を変える!」というのです。





子供のことに関しては、ただでさえ母親というのは自分を責めてしまうものです。

たとえば・・・我が子が色々な障害を持って生まれてきた!私の所為で・・・母親は自分を責めます。

障害の時だけではありません。

たとえば・・・我が子がアトピーだ!

身体が弱くてよく病気する!

私の所為で!・・・こんな、母親のこれまでの生き方がどうであろうと関係ないようなことであっても、母親は自分を責めてしまいます。


それが、今では超一流の「育児指南書」が溢れていて、誰が育ててもみんな「天才児」になるんじゃないか?と錯覚するような勢いです!


つまり、現代は「天才児やいい子で当たり前。子供の才能を伸ばせなかったら母親が悪い」



そら「胎教にはモーツァルトだ!」

やれ「IQ300は母親次第!」

やれ「3歳過ぎたら手遅れやけんね!」

やれ「近所の誰々さんは、子育てが趣味っていいよったけど、母親の鑑やね!」

やれ「子供は母親を選べんけんね!」





・・・って、もう












うるさぁ〜いっ!!









「人生は三歳までにつくられる! 子供の能力、性格は6才までに決まってしまう。○才までにやらないと手遅れになる!!」って、もう、幼児教育の大家は、みんな口を揃えて言いますが、じゃあ、○才過ぎてしまってから幼児教育を知った親子は、諦めろということなのでしょうか?



教育者として、「手遅れです」というのはあるまじき態度、あるまじき思想ではないでしょうか?





それに、それに、果たして子供はIQが高くないといけないのでしょうか?

右脳が発達していないといけないのでしょうか?

人並外れた・・・というか人に誇れる才能がないとダメなんでしょうか?

そういう子供に育たなければ、母親失格なのでしょうか?





あまりに子供の人格を無視し、母親に依存しすぎた考え方ではないでしょうか?





以前親が子供にとって一番身近なロールモデルだというお話をしました。



我が子を天才児に育てる事に固執する親。


我が子で適わなかった夢を孫に託す祖父母と、その意向に依存する両親。


子供の人生をコントロールすることで、育児に依存する親。


自分の人生を謳歌しない親が、本当の意味でロールモデル足り得るのでしょうか?





私は、自分の人生に責任を持ち、イキイキと自分の人生を生きる親の姿をロールモデルとして育つ子供のほうがよほど素晴らしいのではないかと思います。


両親が共働きで、たとえ接する時間は少なくても、その瞬間瞬間を精一杯愛する子供と悔いなく生きようとする親の後ろ姿が、生きた教科書になるのではないでしょうか?


そして、我々は自分の人生を選ぶ権利があります。


たとえ成人した後からでも、学び直しできる筈です。


手遅れなんじゃありません。


可能性が減少するわけでもありません。


自分で絞り込み出来る歳なんだということなんです。




自分の人生を、堂々と自信を持って生き抜くお母さんの子供なら、自分の人生を自分の足で、自分の力で、自分の意志で、力強く歩いていく人に育ってくれるんじゃないでしょうか?


posted by 大塚陽一 at 18:41 | Comment(4) | 子供
この記事へのコメント
はじめまして^^

突然のコメント失礼します。

私の育児・子育て情報サイトで
こちらの記事を紹介させていただきましたので
ご連絡させて頂きました。

該当ページは、
http://1ikuji.blog75.fc2.com/blog-entry-14.htmlです。

今後ともよろしくお願いします。
Posted by 育児情報 at 2007年03月26日 21:28
こんばんは。

大塚さんの奥様もそんなご苦労をされたとは意外でもあり、ちょっとホッとした部分もあり・・・(私の中で大塚さんの奥様は、美人で、3人のお子様の育児もバリバリこなす非の打ち所のないママ、というイメージがありまして。)

私も、初めての育児を、馴染みのない土地で友人親戚もいない中することになり、孤独で、同じようにけっこう育児本を読みました。でも、ちっとも救われなかった。

救ってくれたのは、坊が1歳を過ぎてから入った育児サークルのママ仲間との付き合いでした。

育児の愚痴を言うと、私のサークルのママ仲間は、「わかるよ〜〜、そういうのマジこたえるよね〜〜」「イラつくよね〜〜」「わかるわかる」「うちの近所の人なんか、うちがすさまじい虐待をしてると思ってるかもしれない」「こないだなんかキレまくって、通報されるかと思うくらい怒鳴り散らした」「でも後でギューとチューでごまかしてるよ」「うちもうちも」
・・・などと笑いながら互いにダメ母自慢になるのです。不思議なことに、これが一番救われたのです。

私の乏しい経験上ですが、結局育児に悩むママは、正しい助言を求めているのではなく、単なる共感を求めているんだと思います。

行政的な育児支援も大事ですが、やっぱり一番の育児支援は、ママ友を始めとする、人と人との暖かいコミュニティじゃないかなと思っています。最終的に人を救うのは、やっぱり金や制度より、近くにいる「人」なんだと。

・・・なんて、一人しか育ててないのに偉そうなこと言ってすみません。そして長くなってごめんなさい。
Posted by tamagonta at 2007年03月27日 22:50
育児情報様
ご紹介ありがとうございました!
御ブログへもコメントさせていただきました。
今後とも宜しくお願い致します!
Posted by 大塚陽一 at 2007年03月28日 18:46
ごんたさんコメントありがとうございます。

ハハハ・・・妻を持ち上げすぎですよ(^▽^)

まぁ私も、7人兄弟の一番上で半分は自分が育てたような妻なので、自分の子供の育児で悩むとは思っていませんでしたが、我が子と兄弟は違うようで、すごく悩んでいましたね。

私の親や親戚再度の期待というプレッシャーも相当なものがありますから・・・(^^;)

>私の乏しい経験上ですが、結局育児に悩むママは、正しい助言を求めているのではなく、単なる共感を求めているんだと思います。

おっしゃる通りだと思います。

You are OK!

があれば・・・

ありのままの私でOKなんだ!
と思えれば・・・

ついつい子供中心の生活になり、周りから子育てマシーンというか、(「子供のために」という存在価値しか自分にはないのでは?)と、ついつい思ってしまいますよね?

そうじゃない!

自分の人生を謳歌できない親に、自分の人生を生きようとする子供が育つ訳無いですもんね!

自分の人生を自分で選ぶような子にしたいなら、自分が何を学びたいか選ばせてあげないと。
親や周囲がコントロールしようなんて、おこがましいと私は思います。

自ら選んだことに挑戦して失敗する自由を親が奪ってはいけないと思います。

だからって、ほったらかしで!という訳ではないですがね。

ただ、こんな子も居ていいんだ。
こんな母親が居てもいいんだ。ってことです。

今日の記事を書いたのは、育児書の様な子供じゃないのは、自分の所為だ!とか、こんな母親にはなれない!とかは別にいいじゃん!ということを発信したかったのです。

長くなりいつものように収拾がつかなくなってきましたが、ごんたさんと家内は考え方や感じ方がとても近いように思いますので、今後とも宜しくお願いします。
Posted by 大塚陽一 at 2007年03月28日 19:10
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